TOEICテストの聞き取りと発音のコツ
Speaking/Listening Tips


TOEICテストのリスニングセクションが苦手な人は、3つの原因が考えられます。

第一は、単語力の不足。 次に、読解力の不足。 最後が、英語の発音に不慣れなことです。

知らない単語は聞き取れません(=理解できません)。 また、全て理解できる単語であっても、発音と同じ速度で理解できなければ、やはり聞き取れません(=理解できません)。

TOEICテストのリスニングセクションは、標準的なネイティブスピーカーの発音よりもゆっくりで、かつ明瞭です。従って、聞き取りができない、という学習者は、まず、根本的な原因が単語力と読解力の不足にあるという認識を持ち、知らない単語を少なくする努力と、英文を前から読んで素早く理解する訓練をしてください。どちらも 『新TOEIC TEST英単語・熟語高速マスター』 で、700〜800点台に達する程度まで行えます。

その上で、次の発音上のルールを覚えておけば、「知っている単語ばかりなのに聞き取れない」 という問題は、ほぼ解消されます。

1. 英単語の発音は必ずしも辞書の発音記号とは一致しない。

2. 文や連語で用いられる場合、英単語の発音は変化をする。

3. 一部の慣用的表現は英単語の綴りを無視した発音になる。

はアメリカ英語の発音で顕著に見られます。 アメリカ英語のくだけた発音では、日本語のタチツテトダジヅデドに近い音がラリルレロに近い音に変化します。例えば、betterbeerbeer に、toトゥルゥに、doドゥルゥに、といった具合です。この 「ラリルレロ」 という発音キーワードをしっかり覚えておいてください。これはくだけた (言わば、だらしない) 発音で、正式な発音ではないため、辞書には記載されませんが、アメリカ英語では日常的に使用される発音なので、TOEICテストの対話文でも頻繁に出てきます。

最初の単語の語尾が子音で、次の単語の語頭が母音の場合に見られる連結や、近い子音が2つ続く場合に片方の子音を省略するというケースです。 例えば、instead of の場合、赤字の子音と母音が連結して 「insteaf」 になります。また、1のルールにより、「insteaf」 にもなります。前者はどちらかと言えばイギリス英語、後者はアメリカ英語ですが、英国人であれば必ず前者、米国人なら必ず後者というわけではありません。大事なことは、この2つの発音方法を頭に入れておき、どちらでを聞いても聞き取れるように準備しておくことです。
それから、近い子音が連続する場合の子音の省略とは、ban
k clerkk が脱落して 「ban clerk」 と発音するというようなケースのことです。 cupboard のように最初から子音(p)を発音しない単語も、これと同じ理屈からです。

は日常的に極めて頻度の高い表現には簡略化した発音の仕方がある、ということで、want towanna と発音したり、going togonna と発音したり、got togotta と発音する例が挙げられます。


こうした音の変化は、自分で実際に発音してみれば納得できるものです。例えば、instead of は instead と of を別々に発音するより連結して insteadof と発音した方が楽です。また、「instea
f」 を早口で10回発音した後、今度は 「insteaf」 を10回発音してみてください。「insteaf」 の方が口への負担が少ない楽な発音であることがわかると思います。bank clerk も早口で bank clerk と言うのは難しく、ban clerk と言った方が楽です。 英語のネイティブが楽な方法で単語を発音するのは、我々日本人が(アナウンサーでもない限り)一語一語きちんと発音しないのと同じです。


ここで述べた発音の3つのルールは、実例を数多くこなせば短期間で身に付けることができます。 本書 『新TOEIC TEST英単語・熟語高速マスター』 では、対話文の随所に1〜3の実例が出てきますので、その都度、例文の解説URLの「
Listening/Speaking Tips」 で紹介しています。解説を読んで何度も発音して、連結や省略、変化の要領をつかんでいってください。ネイティブのように発音することは決して難しいことではなく、自分がネイティブのように発音できれば、ネイティブの発音は容易に聞き取れるということが、実感できるはずです。