スロースピード音声が役に立つのはどんな学習者か

ナチュラルスピード音声と スロースピード音声の使い分けについてよく質問を受けますのでお答えします。

まず,「練習を重ねればなんとかナチュラルスピード音声が聞き取れる,あるいは,シャドーイングができる(=同じ速度で話せる)」 という方にはスロースピードの音声は必要ありません。

スロースピードの音声が必要な方とは,音の聞き取り以前に,単語力や熟語力の不足,文構造の把握力の不足(=文法力の不足),等が原因で例文を 「読んでも」 スムースに理解できないという方です。

例文を 「読んでも」 理解できない方が,音の省略や音の変化が随所に入ったナチュラルスピード音声を聞いて理解しようとすることは学習を複雑にするだけです。

まずはゆっくり読んで,例文が「英語の語順で前から理解できる」ようにすること,そして,例文中の語彙を身につけるためにはきちんと聞き取れる速度で「例文を繰り返し聴くこと」 が大切になるわけです。スロースピードの音声はこれを能率良く行うことができます。

そしてスロースピードの音声でしっかり理解できるようになれば,今度はナチュラルスピードに移行すればよいわけです。例文に含まれる語彙や文法が既にわかっているわけですから,この段階では,ナチュラルスピードで発音される際の音の省略や変化だけに絞って学習を進めることができます。

スロースピードの音声を使うことは一見,「ナチュラルスピードでの聞き取り理解」という目標にとって遠回りのように感じるかもしれませんが,ALL IN ONE を比較的楽にこなせる方を除けば,ストレスのない効果的な学習方法です。